僕らと言うには薹(とう)の立った16人へ-合唱-/……とある蛙
 
やっと唄えるようになった16人が
唄った歌は
たくさんの人に向かって
中空を漂っては消え
漂っては消えてしまうので
なかなかたくさんの人たちには届かず、
僕たちはもう一度中空に向かって唄ってみたのです。

それを何度も繰り返し
それを何度も繰り返すうちに
僕たちは歌を唄うだけではなく、
たくさんのことを一緒に考えるようになり、
さらに違う考えを持ったまま
もう一度中空に向かって唄ってみたのです。

しかし、歌は中空を漂っては消え、
漂っては消え、それでも多くの人達は
消えたはずの歌を
消えたはずの僕達の歌を

「耳すまし」、
「耳すまして」
聴いてくれた
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