嘔吐/はるな
。綺麗な下着はすべてぶかぶかになって付けられなくなった。踵のたかい靴を履くとすぐに転ぶようになったのでつっかけばかりを履いた。寒いと動けず、暑くても動けず、温ければ吐いた。食べ物がごりごりとかたくかんじた。疲れた。起きられなくなった。起き上がるのが苦痛になった。週のうち四日は寝て過ごした。肌が黄色っぽくなり、吹き出物が増えた。指先はいつでも定まらなくなった。手足がつめたくなったままこわばった。ただただ疲れていた。疲れることにも疲れてしまった。ふらふら街を歩いた。知らない人しかいなかった。何も欲しく思えなかった。果物屋の前でその匂いに吐いた。街は汚かった。でもあなたがいた。あなたは働いていた。不思議なことだった。わたしはまだ疲れていた。出口はまだ見えなかった。見えなかったけれど少し部屋が明るくなった。甘い水を飲んだ。甘いと思った。あなたがいた。それだけのことだったのだ。
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