肉を刺す/中川達矢
おそらく
今日という一日を
まめをつぶして過ごしてしまったのが
悔しくもなくて
誰のために
血を流していたのか
自分のために
なっていたらなあ
感嘆が漏れてから
夏の湿気につつまれて
雨にもでもなればいい
そして
誰かに忌み嫌われればいい
蚊は
外気に触れた血に
目を背けては
宙ぶらり
裕福な初物好きだろう
それでも
耳障りなささやきをよこす
明日は
まめをつぶしていないだろう
それよりも
つぶすためのまめを
作るには
どうするか考えたい
世界のまめを
どうか
この手の平に
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