桜/佐藤伊織
 
日常はなんともかけがえのないものなのに
サラサラと指の間から抜けてしまうような一日

何も変わらないものはないのはわかっているつもりでも
琥珀になって

世界中にそんな風に人間が住んでいるというだけで
皆同じように砂のように

すごいなあ

桜の花が咲いたよ
白く光る花弁を一枚
万華鏡に咲く満開の花の中を歩くと
どうしてこんなに皆サラサラとすり抜けていくんだろう
風が吹いている方向を影だけが
歩いている


日常が
なんのことはない日常がなんであんなに輝いていて
それが「毎日」なんて言葉に集約される
嘘だよ。そんなことは嘘だよ。

どうしてみんなサラ
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