胸に月/草野春心
 


  しんしんと
  雪のように眠っている
  君の
  シャツの
  胸のあたりに光がにじみ



  そこだけが
  かわいた月面になる
  白、
  黄、
  水色、
  色鮮やかな帽子をかぶった
  小さな人たちが
  そこを歩いてゆく



  かれらが
  乗り捨ててきた
  古い宇宙船を探しながら
  僕は待っている
  君に
  愛していると
  伝えられるときを




   グループ"春心恋歌"
   Point(6)