別れ際に/草野春心
 


  きみの手を握ったとき
  カモメたちが空の低いところを横切った
  それから 二人で歩き出したとき
  潮風が鼻をつんとついた



  沈んでいく夕日のせいなのか
  きみの髪が 花のように揺れるせいなのか
  ぼくには もう わからないけれど



  きみの手をはなしたとき
  並ぶ木々の影が ぼくにだけ溢れた
  浮かべた笑みを少しずつ 奥の方に押しやりながら
  きみは 静かに とおくなっていった



   グループ"春心恋歌"
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