つまずき/草野春心
 


  停止線を越えたぼくの感情のかたまりが
  きみの言葉で編まれたハンモックに絡め取られた
  ぼくが自分の臆病さを知る頃にはすでに
  第二の呟きが世界の水面に波紋を描く



  いまなんて言ったの?
  別に聞き流しているわけじゃない
  ぼくの両耳はいつでも開かれている
  ただきみの話を虚空にうかべて
  見えない字でそのうえに詩を清書しているだけ
  愛することと憎むこととの重なりを
  ぼくはまだ指でなぞるぐらいしか出来ずにいる



  いくつかの段差がぼくをたえまない歩みへと誘う
  つまずくことに憧れて生きてきたよ
  たかが分かち合えるぐらいの喜びよりも
  きみの隠すかなしみにこそ惹かれるから


   グループ"春心恋歌"
   Point(8)