つまずき/草野春心
停止線を越えたぼくの感情のかたまりが
きみの言葉で編まれたハンモックに絡め取られた
ぼくが自分の臆病さを知る頃にはすでに
第二の呟きが世界の水面に波紋を描く
いまなんて言ったの?
別に聞き流しているわけじゃない
ぼくの両耳はいつでも開かれている
ただきみの話を虚空にうかべて
見えない字でそのうえに詩を清書しているだけ
愛することと憎むこととの重なりを
ぼくはまだ指でなぞるぐらいしか出来ずにいる
いくつかの段差がぼくをたえまない歩みへと誘う
つまずくことに憧れて生きてきたよ
たかが分かち合えるぐらいの喜びよりも
きみの隠すかなしみにこそ惹かれるから
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