樹/
草野春心
風が吹いていた
サッカーボールが
高い網を越えていった
哄笑と
悲しみと憤怒が
蝶とともに群がり
吸いこまれてゆく一本の樹
その陰にもたれて
君だけが本を読んでいた
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グループ"短詩集"
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