鰐/草野春心
 


  なにかに似たなにかが
  わたしの緑色を這って滑(ぬめ)る
  朝陽も入り込めない太い闇を
  しずくのような眠りが円く湿らす

  
  葡萄味で棒状の鬱
  なにかに似たなにか
  岩に塗られた溝(どぶ)色の鰐たち
  進むことをやめた美しい時間
  わたしに似たほんとうのわたし



   グループ"短詩集"
   Point(3)