都市風景(1〜20)/草野春心
1.
海岸に
打ち上げられたふたりの詩人が
詩の話をしている
金持ちが金の話をするように
2.
都市を撃ちぬく
弾丸
僕たちの指はそれよりずっと速く
お互いの性器や
むなしい電流のうえをせわしく滑り
だれも東京タワーのことは
憶えていない
3.
裁くことと裁かれること
その中間から延びる
細長い通路をつたって
自殺志願者が歩いてゆく
4.
缶飲料と
八八〇円が落ちる音がループする
5.
凡てが
産まれたときから
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