都市風景(41〜60)/草野春心
 
池のほとりで
  ざりがにを釣った日を覚えている
  鼻をつく苔の香りも
  そこになかったもののことも

  53.

  ねえ僕の心を捕まえてよ
  水上置換で

  54.

  偶然の魔物に肩を掴まれ
  地上四階のアパートから転落したあと
  ばらばらの手足は歩き出し
  片目の落ちたしゃれこうべは
  カタカタ笑う

  55.

  恐怖は
  ただ、白い

  56.

  残像を作りながら日々は動く
  やがてそのすべてが残像になるのだが

  57.

  詩
  堰きとめられたすべての流れが向かうところ

  
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