都市風景(81〜100)/草野春心
が伝えられる
85.
たとえ時代が泡とはじけても
汚臭と残骸にまみれながら人は生き延びる
たとえ時代が風と消えても
人はその風を憶えている
86.
感情は
むなしい果実
87.
葡萄ジュースをこぼしたような醜い空が
ガラスのビルにそのまま映り
都市という名のダンスフロアは
無意識の殺戮者で満ちてゆく
88.
夏のデパートの
食品売り場で少年たちの
物憂い思い出がつくられてゆく
89.
靴紐をほどいて
飛べ
90.
むしろ
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