【批評祭参加作品】空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集/石川敬大
 
 一行だけなのでよくわからないのですが、この詩は、死んだおかあさんが病院で、少年に「つらいことがあったら、空を見て、そこにわたしがいるから」と言った記憶を想起しての詩だということです。ふわふわの白い洗濯物と母親がダブルイメージされており、ほかの受刑者たちにも深い共感をもたれた作品だといいます。


  夏の防波堤

 夕方 紺色に光る海の中で
 大きい魚が小魚を追いかけているところを
 見ました
 鰯の群れが海の表面をパチパチと
 音を立てて逃げていきました


 この詩は、課題図書として読んだと思われる金子みすゞを想起させますが、この詩を書いた少年は釣りが好きで、魚のこと
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   グループ"第5回批評祭参加作品"
   Point(8)