【批評祭参加作品】詩と小説の境目「とげ抜き」について/石川敬大
してきたのが現代詩なのだと指摘した論考を展開しているのを読んだこともあるが、野放図な現代の自由詩は、その自由さのあまりに散文体を吞み込むだけならまだしも、小説のある部分すらときに吞み込んでしまうこともあるようだ。しかしそれは逆にみると、小説に取り込まれようとする詩の憐れな姿にみえないこともない。
小説の体裁をした詩(逆は考えにくい)というのはある。いや、わたしはいまもこれが詩集?これが詩? と、疑念の思いをぬぐい去ることができない本が何冊かは確かにあった。近いところでは、わたしじしん何度か言及している2009年、第14回中原中也賞に輝いた川上未映子『先端で、さす
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