飲み友達/……とある蛙
素面(しらふ)で詩なんぞ書けるものかね
と赭ら顔の詩人は言った。
カウンターの隣で飲んでいた俺は
思わずバーボンを吹き出した。
そうだよ っと詩人は手が震えていて
表紙の擦り切れた手帖に何やら書き出した。ん。
素面(しらふ)で詩なんぞ読めるかい。
と赭ら顔の酔っぱらい爺さんは叫んでいた。
彼らの間で飲んでいた俺は
またバーボンを吹き出した。
そうだよ っと酔っぱらい小父さんは手が震えていて
グラスに山盛りの焼酎をカウンターにまき散らしていた。っげ。
素面(しらふ)で酒なんぞ飲めるかい。
と赭ら顔の俺は唸った。
そうだよ 気が小さくてグラスが震えて
酒の力を借りなければ酒が飲めないんだ
糞忌々しい蝿がよってたかって俺のグラスの縁を飛び回る
糞忌々しい言葉がよってたかって俺の脳髄の淵を飛び回る
糞忌々しい記憶がよってたかって俺の眼鏡を曇らせる。
そんな晩に一杯
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