原風景7/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
折り返した電車から降りると腹が減っていることに気づく。
そう言えば仕事が終わってからなにも食べていなかった。それだけアツくなっていたということだが、それほどまでに理不尽だと思えたのだ。
ふとポケットをまさぐると、仕事場のおばちゃんにもらった黒飴が入っていたので、なめながらスーパーで買い物をする。
あまりにも腹が減った状態で買い物をすると判断がおかしくなってつい買いすぎてしまう。その予防策として飴は最適だ。
これもいろいろな失敗をしながら身につけた知恵だ。
こんな細かい知恵は垢のようにたまり、そして人を縛る。縛られなければ、生きていけない。そのたび、砂を噛むような思いになる
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