誕生日のこと/はるな
 

恋人の誕生日のまえの晩に、お洒落をしてごはんをたべに行った。
食前酒のあまい香りと、白くなめらかなテーブルクロス、糊のきいた従業員の制服、はきなれないヒールの踵をこっそり外すわたし。
鮭に生クリームとじゃがいものソースをかけたのが、すばらしくおいしかった。
透き通ったビールの泡は最後までうすく残って、お酒はとろりと上品に冷えて、完璧にものすごく近い夜だった。
なんども目を合わせて、テーブルのうえの指をつかまえようとすると、それを知っていてすっと逃げる。頬をアルコールで染めて、旺盛な食欲でお皿をきれいにする。

わたしの恋人はわたしにとって、ほかのどの恋人よりも最高だ。
どっしりし
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