りんごのこと/はるな
 
はピーラーで剥くべきでないと考えているのだ。

わたしは、眠りながら考えていたのだけど(眠りながら考える、ということに関しても夫はきびしい。ひとはそれをできない、少なくとも自分の意思ではないと)、わたしがわたしの腕を切ったりするようになって十年間が経った。十年ほどまえにはなにしろ絶望していたし、いまより頭も悪かったので二十になれば死ぬものだ(あるいはそうしなければならない)と考えていた。そしてその二十からもさらに五年間が経ってしまった。夫とは知り合ってから六年が経つ計算になる。夫とは四年と八か月、年齢がちがうので、夫と知り合ったころの夫はいまのわたしよりもすこし若かったことになる。十年前から、
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