まなざしのこと/はるな
 

宝籤はもうすぐ二歳になる。相変わらず尻尾の先をわずかに白く染めているかわいい黒犬。でも、もう自分の手足を持てあましたようなちぐはぐな動きは消えてしまった。暑い日、賢い番犬よろしくブロックのうえに身をながく横たえる宝籤。名前を呼ぶと、耳をぴくぴくと動かしてから、ゆっくりとわたしのほうを向く。
花も、もう自分の名前をわかっている。生まれて百日になる日には父と母と(すなわち花の祖父母と)、わたしの姉妹(つまり叔母たち)、夫(つまり父)の膝のうえで鯛や梅干しを興味深くみつめていた。―かわいそうな宝籤はお留守番させられていた―
花のさいきんの気に入りの遊びは右手と左手を組むことで、いちいちその出会い
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