宝探し/……とある蛙
 

イラ蛾の幼虫が柿の葉一杯
すごく危険なのでした。
その柿の葉を注意深く
風に吹かれて落下した
その地点から真北へ一〇歩


一〇センチ二〇センチ
ロウソク灯して行けマスかぁ
バビロンまでは何センチ※


柔らかな地面がその地点
その下にはお宝が

せっせ せっせ と掘ってみる
せっせ せっせ と掘ってみる
せっせ せっせ と掘ってみる
せっせ せっせ と掘ってみる

悲しいことに黒土は
次第次第に赤土に
壊れた茶碗や急須のかけら
お宝 なかなかでてこない

そのうち夕暮れ
一人減り
薄暗くなり
また一人減り
独りぽっちになっている



一〇センチ二〇センチ
ロウソク灯して行けマスかぁ
バビロンまでは何センチ※


今も変わらぬ独りぽっちの宝さがし。


  ※「ひょっこりひょうたん島」から
    作井上ひさし
   グループ"子ども時代"
   Point(6)