土曜の夕暮れ/……とある蛙
みながそう思ってた
そんな時代に生きていました。
音は恐ろしいほど少ない
夜は静かが当たり前
闇は音を吸い込んで
闇は色を吸い込んで
闇は人をも吸い込みます。
朝
朝は突然やってくる
子供の眠りは深く長い
深いがいつも夢を見る。
夢が突然途切れたころに
正義面した朝がやってきます。
休みの朝は遅かった。
八時前でも静かなもので
朝だ六時だ早朝だ
本当に早朝と思われて
新聞配達と豆腐屋と
母親ぐらいが朝の顔
休みの道路は
空いている
道の真ん中寝転んで
車の来ない広場です。
早起きした七歳の僕は
道の向こう弁護士さんの
家の玄関の縁石に
パジャマ姿でしゃがみこみ
大きなあくびをファーとして
朝日の中に微睡(まどろ)んで
母がごはんで呼ぶまでは
本当に
本当に
幸せな
とっても暖かい陽だまりです。
静かな
静かな
陽だまりです。
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