積木崩し/中原 那由多
きっかけなんてないままに
特別な理由には目もくれず
ただ夢中で積み上げていく
行けるところまで行ってみよう、と
そんな毎日が楽しみでした
円柱形の白いもの
どこで拾ってきたのだろうか
まるで自分の分身のようで
迷わずそっと積み上げた
月日はどんどん流れていきます
六畳ほどの自室の天井に
いよいよ届こうかという矢先
遂にガラガラと崩れてしまった
かつて宝物のようだったもの達が
瓦礫となって転がっている様子に
いよいよ自らの過ちに気付いた
それなのに開き直ってみたのです
何気なく始めたそれに
次第に愛着が湧いていき
その度量に比例して
私は頭を抱え込む
馬鹿げた遊びに明け暮れた報いとばかりに
古傷もまた疼き始める
しかし、このまま終わるわけにもいきません
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