気晴らしのための下絵(1/瑠王
じゃあさ、とりあえず岩を割ってここから生まれよう
それで丘を目指して、そこで何度も何度も生まれよう
泣いたり笑ったりしてその言葉の隙間から生まれよう
じゃあさ、夜を喰っちまってお腹の中から生まれよう
それで春が来る前に、誰よりも先に生まれよう
灰だらけでも生まれよう
明日、生まれよう
林檎の木の枝に生まれよう
死んでしまったもの、のために生まれよう
この煙草を吸い終わったらまた生まれよう
気づいたなら、とりあえず生まれよう
炎が消えたなら
水が涸れたなら
風が止んだなら
皺だらけの手も
何度も、何度も
ちょっと待って
ほら、音
レレレレレレ
シシ シ
ソ ソ ソ ソ
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