夜のキス/岡崎師
 
僕は本を君に聴かせながら、窓の外を眺める。
星は今も流れ続け、夜空が部屋に入り込む。
無音の60分間、でも確かにこのテープに星を
録音した。彼女が僕に銀色のヘッドフォンを
貸してくれないから、僕は、ふてくされる。
床にいくつもの星が出来あがり、赤い花が咲
き続けるなら、僕はそれを夢の中で摘もう。
星は、今も流れ続けて、一片の淡い音が鳴り
響き続ける。僕らは上手に眠ることが出来な
い、僕は君が眠れるよう、唇を縫い付けた。

  グループ"淡い虹が架かって、雨が降る。景色は煙って、降ってゆく夕暮。"
   Point(2)