『近づく鉄塔と廻る鳥たち』/岡崎師
1
「無風を狙って、あの鳥は飛び出した
籠から、あの人の隙を狙って、青空
へ飛んだ。傷付いた羽根で、ぼくは
風を感じる事が出来る。とうめいな
翼で、とうめいな空を、感じること
ができる。ぼくは翼を何万回も振る」
2
「羽撃く度に街が白くなってとおのく。
街が霞んでいき、透明になってゆく
街は小さくなり、ぼくの声が消えて
いく。ぼくはあの場所を目指す。白
い光がひとひらずつおちてゆく。僕
は尚も羽撃いて征ける。街とぼくと
の距離が離れていくにつれ、ぼくは
強くなっていける。ぼくはあの場所
を目指す。近づく鉄塔と廻る鳥たち」
3
「
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