【批評祭参加作品】好き勝手言わせて貰う【十年の、事実】/虹村 凌
ら顔の僕らを見て、「アルコール検出の必要アリ」
無線機に手を伸ばしやしないかヒヤヒヤしたものだ。
紙一重であれ、髪の毛一本であれ、競馬場に夢があるのは
ハズレ馬券を 床に投げ捨てる者たちが
羽を掻きむしるキチガイ鳥がいたせいだ。
明日からの日々を籠に捕らえられたように過ごすのは
結構なことだが、さえずることを忘れてはいけない。
そうすれば、黒ずんでいく羽根を気にせずに済む。
ところで、その日僕らは揃って大笑いした。
こうして地面に座り込んで食べるラーメンが
一番うまい。と言いながら地面に座り込もうとした友だちの
トレイに載せていた当たり馬券を、他の友だちがひったくり、
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