【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される/岡部淳太郎
を招いてしまう。いっぽうのマイノリティの方は、自らが持っているかもしれない力を信じるしかない。自己実現のためでも、遠大な社会貢献のためでも、どちらでもいっこうに構わない。自らが疎外され、自らもまた疎外するという社会との関係性の中で、自分自身を確立させてゆく以外に道はないのだ。そこからおそらく秩序の内側からは決して発生することのない、新しい「うた」が生まれる。そして、いつの間にか「表現者」として存在するようになった自らを見出すことになるだろう(ここで言う「表現者」とは、芸術家や詩人などの文字通りの表現者だけを指すのではない。社会から疎外されている者は必然的に外側から社会を批評的な視線で眺めるようにな
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