【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される/岡部淳太郎
 
意見は不完全だということになる。自分の側にはない感覚を相手が持っているのに(さらに、相手がその感覚を根拠にして語っているのに)、そうした感覚のことに思い至らずに批判するのは完全ではないだろう。こうした感覚は当の本人にしかわかりえないような種類のもので(個人の心の中が舞台になっているのだから、それも当然だ)、先のようなモラリスト的意見を言う者に対しては、あなたも自分と同じマイノリティになって体験してくださいと言う以外にない。こんなところにも、周囲から理解されにくいマイノリティの苦しい立場が現れている。



 さて、ここまで来てようやくおおまかな道筋をつけられたように思えるが、ここからは
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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