【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される/岡部淳太郎
 
いこそあれ、社会の中で少数派である自らを感じて、そこに自らの特殊性を付与してしまうのはマイノリティの自覚がもたらす必然的な帰結であるのだ。それはある意味どうしようもないものであり、マイノリティがマイノリティである限りは消すに消せないものだ。また、マイノリティである自覚から惹き起こされる自我の肥大と特殊化および周囲への敵対心は、自らがつくり出すというより、社会によってつくらされているといった方が正確だ。マイノリティであるという自覚(そこには言わば、眼に見えない心理的刻印〔スティグマ〕が刻まれている)がなければそうした心情も育たないであろうから、個人をマイノリティの認識に追いこんだ社会の側にも責任の一
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
   Point(3)