【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される/岡部淳太郎
(そして社会の)常であるが、名づけられたものは人々によって社会の内部へと導き入れられ、名づけられざるものは社会の周縁部へと追いやられる。そのようにして世界を認識するというのは、必然的に差別を孕む。認識自体が世界を分断し分節し分類する行為であるからだ。おとなしい目立たない人がともすればいじめられたり迫害されたりするのは、人がどこかで本能的に名づけの力を感じ、目立たないゆえにいまだ名づけられない者として在る存在を恐怖するからだ。だから、社会的に認められない、社会の平均から外れた人や物は必然的に無名性を帯びて、そのために忌避されたり馬鹿にされたりする。そこには自らが名づけられてあることへの安心感と、いま
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