【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される/岡部淳太郎
 
正しい解釈であろうと思われるが、現代の民主主義社会においてはマイノリティのこうした裏の側面はなかなか発揮しづらくなっていると思われる。太古から中世までの社会において、マイノリティたちは公権力に利用されることが少なからずあった。だが、現代では公権力は縮小し、もっと曖昧な社会全体の意思、世論が大きな発言力を持っている。そのような状況の下では、マイノリティ排除の裏でその力を利用するという両義性は喪われつつある。言ってみれば、マイノリティはより強大な排除の力にさらされることになってしまったのであり、これはマイノリティにとってはかなりきつい状況だ。自らの行動すべてが、時によっては自らが生きていること自体が社
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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