【批評祭参加作品】<椎野いろは>さんの『つなぎ』と『低気圧』を読んで/Kashin
<椎野いろは>さんの作品、それは「展開の美しさ」
■作品1
つなぎ 椎野いろは
詩になることで
一歩ずつ押しだされ
ひとつ
またひとつ
人間になっていく
詩になれなかったぼくが
水溜まりに転がって
ぼんやりと
道行くサラリーマンに踏み潰されるのを待っている
カラスに食い散らかされる前に
夕日の端で焼却され
塵となったぼくは
雨粒に溶け込んで
きみの傘へと降りそそぐ
晴れた夜には
大気の層が
ぼくを哀しみで包み込み
誰も気づかなかったような色で
淡い光を灯すだろう
ランダムな日付のカテゴリーに解体され
分類・整理されそうに
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