批評祭参加作品■いま詩を書くということ/岡部淳太郎
 
漁り、それを自分の書くものに反映させようとしてきた。だが、いまになって考えると、私はその読書量に応じて不自由になってきたような気がする。「現代詩」の重みの中であえいでいて、いま詩を書くことが私には少しばかり苦しい。読書の楽しみということもあったが、それと同時に自分の詩作に生かすために読んできた「現代詩」の数々。それはまるで重石か一種の脅迫のように私の前にある。書棚に並べられた数々の詩集の群れが「われわれは現代詩である」と静かに主張している。それでも私は詩が好きで書くことが好きだから詩作をやめることはないだろうが、それらの「現代詩」の重みとあるいはもうひとつ、自らが書いてきた詩、自らの過去の重さに押
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   グループ"第3回批評祭参加作品"
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