批評祭参加作品■余白について考える試み/岡部淳太郎
 
歌が印刷されているのみであり、あとはページ数を示すノンブルだけでそれぞれのページにかなり大きな余白がある。単純にすべての歌が三十一音であるとして、仮にそのすべてを平仮名で表記するなら、一ページに合計六十二文字しか記されないということになる。実際には当然漢字と平仮名と片仮名が混合しているので、文字数はもっと少ないだろう。文字の大きさもかなり大きい。小説『K氏の秘密』と比べてみれば一目瞭然だが、それは散文における一文字の占める割合と短歌におけるそれとの大きな隔たりを示している。詩も短詩型文学という点では短歌と同じではあるが、これほど大きい文字で表記されることはまれであろう。ひとつの歌における一文字の比
[次のページ]
   グループ"第3回批評祭参加作品"
   Point(4)