批評祭参加作品■余白について考える試み/岡部淳太郎
 
バーのため見た目はやや小さく見える)。要するに、小説や評論集などの一般的な文芸書でよく使われるサイズだ。同じ版型の本を複数並べてみることによって、それぞれのジャンルごとに余白への意識の違いが見て取れるだろう。
 こうして見てみると、当然のことながら小説『K氏の秘密』がもっとも余白への意識が薄い。これはひとつのテーマに則った連作短篇集だが、それぞれの短篇のタイトルがあるページにのみ目立った余白がある。本文が始まる前に本文よりもかなり大きな文字でタイトルがあり、その前後を本文四行分ぐらいの余白が占めている。もしもタイトルと本文が同じ大きさ同じフォントで、その間に一行の余白もなく連続して書かれていれば
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   グループ"第3回批評祭参加作品"
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