眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
まだ あたたかい乳で
籐の匂ひも あたらしい
雪いろの
生チーズをつくる。
リヴィアは、
栗色の髪の
夕星の瞳(ひとみ)の
リヴィアは
寢床から跳ねおきて
ひかりの?い海辺に
いちもくさん
かけてゆく。
アマンテアの海に。
無題の詩。と言いきっていいのか、私は少し悩む。巻頭の手稿写真を見る限り(全44篇中、7篇しか写真は載っていない)、須賀は詩(のようなもの)に題名(のようなもの)をつけるときに、行頭を数文字分下げるようにしていたようである。編集者はそのルールにしたがって、題名をつけたり、無題の場合には一行目に()をつけることで題名の代わり
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