■批評祭参加作品■水在らあらあの「あるところ」/岡部淳太郎
 
と思われる。
 個人的な好みを言わせてもらえば、この詩で書かれていることはあまりにもまっとうすぎる。当たり前すぎてつまらないと言ってもいいくらいだ。どこかムードに流されすぎているようなきらいがあるのも、警戒したいところだ。だが、いろいろ欠点はあるものの、名もない小市民のような目線で語られているところは悪くないし、「あるところ」の表出にもある程度成功していると思う。
 結局「あるところ」とは何なのか? それはおそらくどこでもなくてどこにでもある場所なのだろう。ひとつの名づけることの出来ない場所。だからこそ、そこは「怖い」場所であるし「美しくて/輝きに満ちて」もいる場所なのだろう。私たちはひとり残らず「あるところ」に住んでいる。ほとんどの場合、そこで起こる物語は回収されたり語られたりすることはない。だが、そんな「あるところ」を慰撫するように語る一篇の詩があれば、私たちのそれぞれの「あるところ」は「輝き」を失わずに済むだろう。



(二〇〇七年一月)
   グループ"第2回批評祭参加作品"
   Point(4)