■批評祭参加作品■ 批評についてつれづれに思ったこと。(おまけ付き)/いとう
ところに男と女がいて
であって 好きあって
子供ができて 家庭を持った
世界は美しくて
輝きに満ちて
この部分、夏野雨さんは、
最終連、その波の崩れゆくさまをそれでも美しいという。「ここ」に立つ自分の、強いまなざし。涙と恐れもつそれこそが、世界を愛するまなざしではないだろうか。
と評したのだけれど、
(http://po-m.com/forum/i_doc.php?did=99933)
俺はまったく正反対の読み方をしました。
「美しく輝きに満ちた世界」が、
“やってくる”のが、怖いのだと。
「あるところ」とは、「美しく輝きに満ちた世界」だ、と。
それを怖れる話者の破綻性。
世界を“恐怖する”まなざし。
あるいは、
「美しく輝きに満ちた世界」という表現に、
逆説的意味を持ち込んだ、
作者の技術の高さ。
そういった目線で読みました。
言葉を言葉通りに受け取ってはいけないことは往々にしてあると思う。
特に詩においては。本当に、特に。本当に。
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