■批評祭不参加作品■ノン・レトリックより■この文章は古いから祭には不参加!/佐々宝砂
 
もしれない。しかし旨いと思うのは自分だけで、ヒトサマにはまずくて食べられないかもしれない。自分じゃまずいと思っても、ヒトサマは旨い旨いと喜んで食べてくれるかもしれない。そうするとだんだんわからなくなってくる。そもそも旨いってなんだ?

旨いかまずいか断定してくれるエライ人というのが料理マンガに不可欠なのは、そういう理由なんである。このエライ人は、味の好みに偏りがない。甘いのがキライとか苦いのはダメとか言っていては、お話にならない。甘かろうと苦かろうと、旨いものは旨い!のである。料理マンガはそういう認識を前提にしている。生臭いからレバーはダメなのよというヒトにレバーをおいしく食べさせる類の話が料理マンガによく見られるけれど、これも、要するに「旨いものは旨い!」という話なんだ。

(2001.09/15 初出詩人ギルド レビュウズ「サルでもわかるレトリカル」より「ノン・レトリック2」)

「このゆび」とは、詩人ギルドに当時存在したテーマ詩掲示板。
現フォでいうと「創書日和。」みたいなもの。
   グループ"第2回批評祭参加作品"
   Point(6)