翼(「バード連作集3」)/光冨郁也
 
坂道に、アクセルを吹かす。
 危ないので、バスに道をゆずり、4WDに追い抜かれ、岬の近くに着いた。雑木林の脇にスクーターを置く。鍵を抜き去り、ヘルメットを置いて、岬に向かって歩く。空に揺らめく影。
(あれは何の鳥だろう)
 茶色の翼の鳥が小さな群れを作っている。展望台と店がある。
 階段を上がり、店員にポップコーンを注文する。品をもらい、展望台の階をもうひとつ上がる。
 ふいに羽ばたく音がある。茶色い翼の、鳥が目の前に飛び込んでくる。
(ハーピーだ)
 わたしは身をすくめる。手にしたわたしのポップコーンをハーピーがさらう。反射的に、手を隠す。ハーピーが群れをなして上から横から、茶色の
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