書かれた-叔母/非在の虹
 
づいた。
叔母の化粧台を覗いていたのだ。
三面鏡に映る無数のこどもの顔に
叔母の顔が無数に連なった。

公衆便所のタイルの溝の色がある。
帯止めの鼈甲の色がある。
あの 袖の中へ手先を隠す格好で
叔母は町中へ逃げて行った。

叔母は子供の相手に疲れると
こどもをデパートに連れて行った。
夕刻 叔母は消えた。
こどもが途方にくれる時刻までは
まだ時間はあった。

こどもは腹痛を起こした。
原因も分からず苦しみ続けた。
叔母はこどもを見下ろして
じっとりと汗を掻いていた。

叔母のうちに人が集まった。
子どもはその人々に見覚えがなかった
花札が始まり時折声
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