面接(12)/虹村 凌
 
 湯船の中に身体を沈めて、肺の中を空っぽにするまで息を吐き出した。
「おい」
「何だ、珍しいな。お前から俺を呼ぶなんて」
「聞いてただろ?あいつが帰ってきやがった」
「何だお前、今更そんな事言いやがって。わかってた事だろうが」
「そうなんだが、どうも実感が無かったんだよ」
「実感が無いってお前…」
「うん、本当に、殆ど忘れてたんだ。そろそろ帰ってくる、ってのは知ってたけど」
「フン。まぁ、そんな事はどうでもいい。問題は、お前がいつ言うかって事だ」
「それなんだ。なるべく急がなきゃいけない」
「だろうな」
「でも、この生活も、悪くないんだ」
「フン。甘
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