四月/
非在の虹
きみは、知っていただろうか
終わりのない、四月の午後
ぐっすりと眠る、きみのひたいに
ぼくの夢は、文字をつづる
きみは、知っていただろうか
森は、とうとつに、緑の下着をまとい
ふりむくと、花はひらいて
どうして、春はぼくたちを不意打ちする?
きみは、知っていたのか
思い違いもつらい仕打ちも 春の
風の中で甘くとけてしまったと
信じていたのは、ぼくだけだったと
きみは、知っていたのか
春とは苦しみのおきてだと
前
次
グループ"歳時記"
編
削
Point
(1)