計算上の仰向/ぬいとり草
見下ろすと わたくしに所属するのは
ただぼつぼつとした腹だ
テンキー
布団を背負う
じゅうたんを背負う
フローリングを背負う
芝生を背負う
自ら有する全ての接地面から垂直に作用する引力を
背負う
テンキー
頭蓋が載せられたのは
枕であり
畳であり
自らの両手であり
収まりの悪い膝であり
入出力を前提とするシステムである
そしてテンキー
ぼつぼつとした腹は入力された現在と予測された将来とを出力しまた沈黙する
背骨はゆるやかなカーブを描き床面と四肢による歩行を拒絶する
後頭部と腰骨を力点として真上に反作用する私的なる引力は
いかなる能動をも発することがない
テンキー
テンキー
わたくしの肉体はその寸の平面に横たわり
作用反作用の力点において静止している
入力とそのための腹と出力の機構を有している
テンキー 背負っている
テンキー 載せられている
わたくしの肉体は 静かである
次 グループ"詩の練習1「単語法」"
編 削 Point(1)