超真理男兄弟[場面1−3]/国産和風モモンガ
 
ながら携帯電話を眺めている人の顔がぼんやりと光る。現代詩的時刻表はもう読めないからこっちも携帯電話を取り出す。早くも虫の音が聴こえて来て草を撫でる風が鳴って、真っ暗な中で光る二つの顔はニヤけたりムッとしたりボーッとしたりする。時折自動車のヘッドライトが通って一瞬オセロ色の人体模型みたいな二人。月の満ち欠けを肉体で再現。
 けどこれは街なかのバス停で待っていた場合であって、夏休みの終わりに校庭のバス停で、むーんと鳴く蚊を手で牽制しながら待つのさ。校舎の窓は夜闇以上に真っ暗でわさわさ揺れる名札のかかった樹。ひんやりした遊具を独り占めして鉄棒で逆上がりのブランコはすべり台。消滅した二〇〇メートル・トラックを見下ろすサッカーゴール。朝礼台に座って膝から下を自由にする。深夜徘徊の校庭のバス停。来ない迎え。存在否定の待ち合わせ。無国旗君が代熱唱のポール。大きく振りかぶって投げたピッチャー第一球は藪の中。藪は闇の中。Head light of the bus or something.眩しくて眩しくて眩しくて。
 外の世界に出た時の眩しさってばこれそっくりで。
   グループ"超真理男兄弟"
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