水の線路/千波 一也
さすらいの
すべてがやさしく
しみるとき
風の
しるべの
まぶしさが、近い
背中や肩を
通うながれは
さらわれまい、とした
ひとつの道すじ
だれかの瞳に
年月に
たしかに
運ばれゆくだろう
戻ろうと願ったり
かなわぬことを
告げられたり
ひとつの意味が
無数に咲いて
無数にとじて
その、
呼び声を生む温もりへ
かさなり、錆びつく
羅針盤の日々
群れをなすほど募る孤独に
ゆくえ知れず、は
あふれてやまず
どこかかなしく
響くめぐみと
形を
なせない
雨とは似ている
そむき忘れる
ときの寄る辺に
淡く
線路が
燃えてゆく
ゆめ、の面影
いくつも載せて
すり抜け
て
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