(無題)/キキ
みなみの風、稜線のむこうから白のむれ
あなたは北から
奥そこ、しずかな砂のうえにからだをおいて
あと三日ほどねむって
ちいさい時分にみた夢を思いだしている
しろく、生あたたかく
とおく、
ふかく
天ぺんのほうからゆらめいて
ひらひらと
おりてくる葉のかたち
てのひらで
追う
ああ、さよならって
言わなくても
眠りのなかではしろく、
ふかぶかと頬をひたすことのできる
そのうずたかい波
なにかもっと笑えるようなことを
喋りたくて
くちをひらけばながれこむ水
あと七日ほどねむれば
しろい風景
それからなんどもなんども押しよせる風、
みなみから
あなたは北から
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