(無題)/キキ
 
みなみの風、稜線のむこうから白のむれ
あなたは北から

奥そこ、しずかな砂のうえにからだをおいて
あと三日ほどねむって
ちいさい時分にみた夢を思いだしている
しろく、生あたたかく
とおく、
ふかく

天ぺんのほうからゆらめいて
ひらひらと
おりてくる葉のかたち
てのひらで
追う
ああ、さよならって
言わなくても
眠りのなかではしろく、
ふかぶかと頬をひたすことのできる
そのうずたかい波

なにかもっと笑えるようなことを
喋りたくて
くちをひらけばながれこむ水
あと七日ほどねむれば
しろい風景
それからなんどもなんども押しよせる風、
みなみから
あなたは北から




   グループ"(無題)"
   Point(6)