不自由について/佐々宝砂
もちろん私は自由ではないわ
でもそんなことどうだっていいのよ
生まれ落ちたそのとき
私の首には何重にも鎖だの糸だの手錠だの指輪だの
たくさんたくさんからまって
私は私の身体を自由にすることもできない
自分の体重をコントロールすることさえ
努力なしにはできないし
皺いっぽん増やしたり減らしたりすることだって
すごく難しいこと
だけど
気に入ってるならば
手錠だって気の利いたアクセサリーなんだし
うんざりしはじめたら
プラチナの指輪だってたやすく手錠に変わる
私たちは誰ひとり自由ではなく
自由と幸福には関連がない
でもそんなことどうだっていいのよ
貴方が自由を求めて旅に出てるあいだに
私はせいぜいダイエットして
それから
詩をひとつ書くのよ
(鈴木Pakiene名義で発表のもの)
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