五十音頭韻ポエムか〜こ/佐々宝砂
 
くちびるへ
くだものを下さい




[け]


化粧直して消し止める
懸想のけしき懈怠のけがれ

眷恋けしかけけらけらと
けちな見地を蹴ちらかし
けむたい嫌疑は蹴たぐりかえし
けろり蹴たおす喧嘩の気配

今朝の鶏鳴
剣が峰
喧々囂々
乾坤一擲

蹴爪毛皮のけだものは
気高い化身と化生して

けだし決意は桁外れ
けれんの結句はケセラセラ




[こ]


焦がれる心を凍らせてこのかた
恋を乞うたび拳こわばっていたが

ここいらは濃緑に苔むして
胡蝶たちはこぞって小躍りする
こがねの木漏れ日がここぞと応える

この濃緑に
この胡蝶に
この木漏れ日に
ことのはことだま籠もるなら
ことさら拒むまい
孤高にこだわるまい
小賢しい言葉は金輪際こぼすまい

胡蝶たちがこいねがう言葉を
ことごとに転がし続けよう

小揺るぎなく懲りずまに
こよなく恋え言葉よ

小鳥の声にことよせて
言祝げよ言葉よ





   グループ"ポエムス(パキーネ詩編)"
   Point(3)