六月の水球/
佐野権太
うまく答えられそうにない
繰り上がりの計算は
教えられても
かなしみと
折り合いをつけるやり方は
自分で見つけるしかないのだ
*
手渡してゆく、季節
六月の
細い雨がささる
それでも
君の傘の先は
まるくなっているから
少し
安心するんだ
ひだりの瞳に
緑を潤ませて
名を呼べば、きっと
両手を振り返す、君を
みぎの瞳で願っている
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